先日、ScalTradeAssistProを使った、裁量トレードのバックテスト方法について解説した動画を投稿しました。
今回の記事はこの動画と(ほぼ)同じものになりますので、動画が良い方は動画の方をご覧ください。
ScalTradeAssist Proとは
元々はスキャルピング用に「近すぎてストップロスが置けない」場合でもストップロスが設定できるように開発したツールです。(通常は業者が設定する”ストップレベル”よりも狭いストップロスは置けません)
発売当時はScalTradeAssistという名称でした。そのScalTradeAssistに機能を大きく追加して2017年に発売したのがScalTradeAssist Proです。
Ver2.00のアップデートでストラテジーテスターでの動作を可能にし、ブログをご覧の方はご存知かと思いますが、ストラテジーテスター向けの経済指標インジケーター「News4StrategyTester」の開発、ストラテジーテスター実行時の高速化などを経て、実用的なレベルになったと自負しております。
ScalTradeAssist Proを使用するメリットとデメリット
裁量バックテストツールは他にもたくさんあります。それらの製品と比較してどのような点がメリットで、どのような点がデメリットかを考えてみました。
メリット
比較的安価
裁量バックテストツールは高価なものが多いです。無料のものもありますが、単純に発注・決済できるだけだったりします。一通りの機能が揃っていて5,900円というのはかなり安価だと思います。
経済指標の表示
ScalTradeAssist ProにはNews4StrategyTesterというストラテジーテスター用の経済指標表示インジケーターが付属しています。
このインジケーターを使うことで、「急にチャートが乱高下を始め、理由を調べてみると重要な経済指標発表だった」といったミスを防ぐことができます。
この機能は他にはないでしょう。(私がNews4StrategyTesterを開発する際に調べた時には有料・無料問わず見つかりませんでした。)
普段のトレードでも使用可能
元々はバックテスト用に開発したツールではありませんので、まったく同じ操作でリアルトレードでも使用可能です。
お使いのインジケーターが使用可能
MT4で動作しますので、ご利用中のインジケーターが基本的には使用可能です。(すべてのインジケーターの動作を保証するものではございません。)
ストラテジーテスターを使用しない(MT4を使用しない)、バックテスト専用ツールでは購入したインジケーターや自分で開発したインジケーターなどは併用できません。
デメリット
バックテスト専用ツールと比較するとやや機能が少ない
私としては必要な機能は揃っていると思っていますが、たとえば「巻き戻す」ということはできません。(私はこれが必要だとは思わないのですが、トレーダーによっては欲しい方もいらっしゃるようです。)
MT4のストラテジーテスターでは巻き戻せないので、戻したい場合には再実行する必要があります。(ストラテジーテスターを使用しないバックテスト専用ツールでは巻き戻せます。)
バックテストの動作が遅くなる
経済指標インジケーターを使用した場合に限りますが、ストラテジーテスターの最速動作が遅くなります。”一気に進めたい”場合にはもどかしく感じるかもしれません。
経済指標を1分毎にチェックして、必要であれば経済指標の表示を変更する処理を入れていますので、どうしても遅くなります。
※どうしても速く実行したい方はtesterspeedというインジケーターを使用し、Skip Tickを設定すると速くなります。
他製品と比較して‥
ほとんどのお客様にご満足いただけると考えおりますが、「巻き戻し」が必要と考えるお客様でしたらForexTesterなどの高価な専用ツール一択になると思います。
こういった専用ツールでは購入したインジケーターなど、一般的でないインジケーターは使用できないのでご注意ください。(移動平均線やMACDなど、ごく一般的なインジケーターは実装されています)
ヒストリカルデータの信憑性
データの信憑性についてはMT4に準じます。TDS(TickDateSuite)も併用できますので、TDSを使用した場合には信憑性は高くなります。
TDSなどのリアルティックデータを使用しない場合、ティックデータは仮想データですので信憑性はありません。デイトレードなど、ティックの動きにあまり左右されないトレード手法でご利用ください。
バックテストの実演
実演に関しては動画(1:15~)を観ていただいた方が良いと思います。
News4StrategyTesterという同梱のインジケーターを設置すると、バックテストの日時と連動して経済指標が表示されます。(表示する指標を重要度などでフィルタすることも可能です)
バックテストに使用する時間足(例では5分足)以外の時間足を連動させて表示することもできます。
動画では1時間足と日足を表示してMTF分析を行い「長期トレンドは下降トレンド」を確認しました。
なお、同一通貨ペアだけでなく、他の通貨ペアも同様に連動させることができます。
短期的な上昇トレンドが示現しました。この上昇トレンドの終焉時に「戻り売り」を仕掛けることにしました。
トレンドラインを割り込んだところでショート(売り)
ストラテジーテスターにはポジションを表示する機能が無いので、ScalTradeAssist Proではストラテジーテスターで実行した場合のみ現在のポジションを簡易表示します。
個別に決済したい場合には左のxボタンをクリックすると決済されます。
StopLossとTakeProfitを直近の高値と安値を基準に設定。後は決済されるまで待ちます。
TakeProfitで決済されました。
27,894円の利益となっています。
今回はストラテジーテスターでの使用方法についての解説でしたが、「ScalTradeAssistProのご紹介と使い方の解説」という動画をYouTubeアップしています。そちらも併せてご覧ください。(7年前の古いものですが、基本的な操作は変わっていません)
結果の確認
自動売買のEA同様、資産の増減がグラフ標示され、勝率やドローダウンなども標示されます。
MT4分析ツールの使用
結果を保存して当ブログ上部にある「MT4分析ツール」を使用して月別/時間別/曜日別などで分析、表示することもできます。(MT4分析ツールはどなたでも無料で使用できます)
設定方法
ストラテジーテスターで実行すると初期値(インジケーターも何も無い状態)でチャートが表示されます。毎回、手作業でインジケーターを設定するのは面倒ですので「定型チャート」を使用しましょう。
ストラテジーテスター実行後、News4StrategyTesterとChartSyncsというチャート同期インジケーターを設定します。ChartSyncsはGogoJungleから無料でダウンロードできます。
GogoJungleからダウンロードしたくない方は別の方法もあります。以下の記事で解説しておりますので、そちらをご覧ください。
ChartSyncsでは(見ようと思えば)未来のチャートを見れてしまったりするので、それが気に入らない方は上記ページの記事にあるPeriod_Converter_Optを使用すると良いでしょう。
ただし、Period_Converter_Optを使用した場合、ストラテジーテスター実行直後の上位時間軸のデータ(ローソク足の本数)が少ない点に注意してください。(私はこれがあまり好きではないのでChartSyncsの方をおすすめしております。)
News4StrategyTesterとChartSync以外のトレードに必要なインジケーターがあれば、ここで設置しておきます。私はローソク足に変更、グリッドが不要なのでグリッドも消しました。
設定が終わったら「右クリック→定型チャート→定型として保存」を選択して、わかりやすい適当な名前をつけて保存します。今回はBacktestという名前で保存しました。
次にストラテジーテスターを実行した際にはここで保存した定型を適用することで、News4StrategyTesterやChartSyncなどのインジケーターが即時に適用されます。
Defaultという定型
必ず使用する設定があればDefaultという名前で保存しておくと「新しいチャートを開く」際に適用してくれるので非常に便利です。
私の場合は「ローソク足」と「グリッドの非表示」くらいですがいつも使うインジケーターがあれば、それらを適用した状態で「Default」という定型を保存しておくとよいでしょう。
MTF分析用の定型
次にMTF分析用の設定を行います。適当なチャートを開いてChartSyncsを設置、他に必要なインジケーターがあればここで設置しておきます。設置が終わったらわかりやすい名前で定型として保存します。
あとはMTF用のチャートを開いたらこの定型を適用するだけでストラテジーテスターの時間と連動してチャートが動作するようになります。
設定は以上です。
ChatSyncsの設定変更(任意)
規定値のままだと少し問題があります。表示される最新の足は未来の足ですので、値動きがある程度予測できてしまうのです。
例えば、長期の足で陽線が示現していた場合、「恐らくこの後上昇するだろう」ということが予測できます。
これについてはChartSyncsのパラメーターで対応できます。
同期戦の位置(チャート右端からの本数)を初期値の1から0にすることで1つ前の足までを表示できます。
これで未来を見ることを防ぐことができます。(ChartSyncsは確定された足を表示するため、バックテスト実行時点の最新の足は表示できません。どうしても表示したい場合にはPeriod_Converter_Optを使用する必要があります。)
まとめ
ScalTradeAssistProの特徴
- 比較的安価
- 経済指標が表示できる
- ストラテジーテスター以外でも使用可能
- 市販のMT4用インジケーターなども併用できます。(動作を保証するものではありません。)
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