【米ドル/円のストキャスティクス検証結果】
ストキャスティクスの説明については用語集のストキャスティクスのページをご覧ください。
→ ストキャスティクスとは
<目的>
ストキャスティクスのクロスによるシグナルが有効かどうか検証する。
(高値圏・安値圏でのクロスを売買シグナルとする)
スローストキャスティクスを検証対象とする。(ファストストキャスティクスはバックテストツールの仕様上、検証不可)
最も利益の出るパラメータ(日数)は何かを検証する。
☆有効なテクニカル分析か
米ドル/円においてストキャスティクスのシグナルは有効なテクニカル分析の一つと考えられる。
ただし、有効なテクニカル分析として機能させるためには幾つかルールを追加する必要がある。
有効性については利益の出るパラメータ検証と共に実証する。
【結論】
米ドル/円でストキャスティクスを使用する場合にはN=9,Y1=3,Y2=3とするか、N=14,Y1=3,Y2=3を使用するのが良い。
N=9の場合には70(30)か75(25)、N=14の場合には70(30)を高値圏(安値圏)として、この数値以下の際にクロスしたものを売買シグナルとすると良さそうである。
また、ダマシ対策として損切りは80pips(1万通貨で8,000円)で損切りとするのが「浅すぎず・深すぎない」損切りラインとなる。
主なバックテスト結果を以下に示す。
N,Y1,Y2 | H | L | 1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 2010年 |
5,3,3 | 80 | 20 | 90,130 | 269,120 | 377,320 | 553,220 | 30,950 |
9,3,3 | 70 | 30 | 161,460 | 183,090 | 156,290 | 365,990 | 44,930 |
9,3,3 | 75 | 25 | 120,800 | 284,330 | 276,430 | 455,430 | 4,270 |
9,3,3 | 80 | 20 | 79,570 | 220,230 | 233,630 | 385,330 | 44,270 |
9,3,3 | 85 | 15 | 34,840 | 276,810 | 424,110 | 594,010 | 58,100 |
14,3,3 | 70 | 30 | 140430 | 200880 | 108780 | 403080 | 56320 |
14,3,3 | 80 | 20 | 115,840 | 209,320 | 233,220 | 485,820 | 34,650 |
☆最も利益の出るパラメータ調査(詳細)
一般的に使用されるパラメータは以下の通りである。
N=5,Y1=3,Y2=3
N=9,Y1=3,Y2=3
N=14,Y1=3,Y2=3
スローストキャスティクスの高値圏・安値圏でのクロスを売買シグナルとする。
高値圏は70%,75%,80%,85%,90%の5種類とする。
安値圏は30%,25%,20%,15%,10%の5種類とする。
このシグナルではダマシにあった際の反対売買シグナルが発生しない(*1)為、損切りを定義する。
pipsで指定、20,50,80,110,140 の5種類とする。
検証期間は調査時最新データから1年間、3年間、5年間、10年間及び、去年1年間、一昨年1年間とする。
ex) 1年間 = 2010/4/21~2011/4/22
(*1)安値圏でのゴールデンクロス(買いシグナル)がダマシとなった場合、安値圏でデッドクロスが発生しても売りシグナルとならない。
以上の条件を元にバックテストを繰り返し、最も有効なパラメータを検証した。
Nは5を使用するよりも9や14を使う方が良い結果が出た。
高値圏と安値圏については、70~80(30~20)の間であれば良い結果が出る。
(カッコは安値圏)
直近1年間でみると、N=9の場合には70(30)や75(25)が良く、過去3年や5年、10年といった長い期間で見た場合には、85(15)でも良い結果が出た。
(Nが14の場合には85ではうまくいかない事が多い)
また、N=14の場合、70と80が良い。
直近でみると70の方が良い結果が出ているが5年、10年で見ると80の方が良い。
強制決済ルールは-80pipsとした場合が最も安定した結果を残せた。
尚、今回バックテストに使用したものは「簡単に使えるバックテストツールHyper Speed Next」のページにある、「5.ストラテジ構築」及び「6.ストラテジ改良」で作成したものを使用した。
※ 検証データはGoogle Docの以下のURLで公開しています。
USD/JPY Stcastics P/L BackTest
【2011/05/06 追記】
外貨同士のペア(ユーロ/米ドル,豪ドル/米ドル,ポンド/米ドル)にて同様の調査を行いましたが、あまり良い結果は出ませんでした。
【2011/05/29 追記】
ストキャスティクスの独創的な使い方 「ストキャスティクスの破裂」についての検証結果を追加しました。
こちらは外貨同士のペア、特にユーロ/米ドルでの結果が良いです。
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