前回の記事「リスクリワード比が1.0だろうが2.0だろうが同じですよね」では、単純にテイクプロフィットとストップロスを置いて決済していましたが、少し決済を工夫してみたいと思います。
ブレークイーブンは「ある程度含み利益が発生したところで、建値にストップロスを置く」ことで、「負けを回避する」というものです。「最悪でもドロー」に持ち込めます。
メリットは何と言っても「気分的に楽」という点でしょう。「気分かよ」といわれるかも知れませんが、FXにおいて気分は重要です。
ブレークイーブンの効能
前回使った「発注してストップロスとテイクプロフィットを設定するだけのEA」にブレークイーブン機能を追加しました。
StartBreakeEvenはブレークイーブン機能を開始する「含み益(単位はPoint)」を指定します。
BreakEvenProfitはブレークイーブン機能を開始した際に確保する利益です。建値にストップロスを置いてしまうとスプレッドや手数料でマイナスになってしまうので、少しだけ利益が出るようにストップロスを置きます。
画像の左の数値を例にすると、買いの場合、300points(30pips)の利益が出たら建値の10point(1pips)上にストップロスを設置します。
それでは最適化を実行してみましょう。(通貨ペアはEURUSDです。検証の数を増やすために、USDJPYも使用しています。それ以外の通貨ペアは使用していません。)
売りのパターンで最適化
パスの10がブレークイーブン未使用時です。(TakeProfitと同値なので、ブレークイーブンが開始される前に決済されます)
利益が出ているパラメーターも多く、概ね良い結果になりました。ただ、BrakeEvenが400の場合は悪化しています。たまたまかも知れませんが、「ブレークイーブンを設定すれば必ず成績が良くなる」というものでは無いということのようです。
買いのパターンで最適化
売りの場合と似たような結果になっていますが、厄介なことにブレークイーブンを設定しない方が良いパターンがまた出てきました。しかもパラメーターが異なります‥。
ストップロスとテイクプロフィットを変えて、幾つかパターンを検証してみましたが、「これだ!」というパラメーターや傾向は見つけられず‥。
「概ねブレークイーブンを設定したほうが良い結果になりやすいようだ」という程度でしかありませんでした‥。
トレイリングストップの効能
次にトレイリングストップを検証してみます。
StartTrailingStopがトレイリング開始地点(単位はPoint)で、開始した際のストップロスの位置をTrailingDistance(単位はPoint)に指定します。
上の図の例で買いの場合だと、50points(5pips)の利益が発生したら、トレイリングストップ開始地点から300points(30pips)下にストップロスを設置します。
元のStopLossは500points(50pips)でしたから、そこから250points(25pips)の位置にストップロスを移動します。(250pointsの損失が出る位置)
更に、50points(5pips)を超える利益が出た場合にはストップロスの位置も切り上げていきます。含み益が60points(6pips)なら240points、70points(7pips)なら230points‥250points(25pips)の利益に達成するとブレークイーブンの状態になり、260points(26pips)の利益で10points(1pips)の利益‥となります。
それではバックテストしてみましょう。
パターンが多くなったので画像には入っていませんが、ブレークイーブン同様「概ね設定した方が良い結果になる」ものの、「パラメーターによっては悪化するものもある」という結果になりました。
一番良かったもののグラフです。悪くは無いですね‥!
ブレークイーブン同様、良さそうなパラメーターの傾向を探してみましたが「これだ!」というものはなく‥「トレイリングストップロスが発動した直後に利益を確保する(ブレークイーブン機能をトレイリングストップロスに含める)」という使い方よりも、最初の例のように「発動したら損失が軽減するくらいの位置からトレイリングストップを開始した方が良さそうだ」という傾向が見られました。
しかし「損失をゼロにしてくれる方が良い」というのあれば、それでも構わないと思います。(そういう傾向が見られただけで、大きく違うわけではありません。)
トレーディングを行う上で「気分」は大事です。いい気分でトレードしたいですし、平常心を保ちやすい設定が、その人のベストなのではないかと個人的には思います。
なお、トレイリングストップはリスクリワードレシオが1.0のような場合に使用するよりも、2.0や3.0のように、テイクプロフィットを大きく取る場合に使用するとより効果的のようです。
トレイリングストップやブレークイーブンによる勝率、リスクリワードレシオ
ブレークイーブンが発動するとそのトレードはドローとなるので「勝ち負けに数えない」ようにすれば勝率の計算はできます。
ですが、トレイリングストップはどう設定しても勝率やリスクリワードレシオが無意味になります。発動するとストップロスが動いていくのですから当然です。
極論で言えば「勝てればどうだっていい」わけですが、初心者の方や「なかなか勝てない」と悩んでいる方が使うべきかどうかは疑問です。「使わなくてもトータルで勝てる」くらいまで鍛えてから、よりトータルでの利益を大きくする方法として、導入を考えるのが良いかも知れません。
なお、自動的にブレークイーブンやテイクプロフィットを設定したい方はScalTradeAssist ProやAutoOrderModofiyEA Proをおすすめします。
裁量トレードで使用する場合にはScalTradeAssistPro、EAでも使用したい場合にはAutoOrderModofiyEA Proが良いと思います。
でも、両方起動するのがベターだと思います!セットで買うとさらにお得‥!(笑)
今回の調査は以上です‥!
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